琵琶湖の絶景を独り占め。雄琴温泉の露天風呂付き客室で紡ぐ、50代夫婦の特別な休日

目次

琵琶湖の畔、雄琴温泉はふたたび歩み出す夫婦を惹きつけるのか

これまで、たくさんの役割を背負い、がむしゃらに走り続けてきた。
ふと立ち止まった時、隣には同じように歳を重ねたパートナーの姿。子育てという大きな物語に一区切りがついた今、ふたりはどんな言葉を交わし、どんな時間を過ごしたいと願うのでしょうか。

目の前に広がるのは、悠久の時を刻んできた日本最大の湖、琵琶湖。その静かな水面を望む雄琴温泉は、ただ身体を癒すだけの場所ではありません。まるで湖がすべてを受け入れてくれるかのように、ここでは素直な気持ちで向き合える。

ここは、慌ただしい日常から少しだけ離れ、夫婦という関係をもう一度、優しく見つめ直すための場所。これから始まる新しい人生のプロローグを、この湖畔の湯けむりの中で、そっと語り合ってみませんか。ただ宿泊するだけではない、夫婦ふたりの時間を深く紡ぎ直すための旅が、ここから始まります。

びわ湖花街道

~湖国の花々と、心づくしのおもてなしに癒される宿~

■おすすめポイント(びわ湖花街道)

  • 館内の至る所に飾られた美しい生け花
  • 最上階から琵琶湖を望む、開放感あふれる露天風呂付き客室
  • おもてなしの心を尽くしたきめ細やかなサービス
  • 近江の旬を味わう、彩り豊かな会席料理
  • 和の情緒とモダンが融合した、心安らぐ空間

扉を開けた瞬間から、ふわりと花の香りに包まれる。びわ湖花街道は、その名の通り、館内のいたるところに季節の草花が活けられ、訪れる人の心を和ませてくれる宿です。華やかでありながら、どこか奥ゆかしい。その佇まいは、まるで円熟期を迎えた夫婦の関係そのもののよう。きめ細やかなおもてなしに身を委ね、心から寛ぐ時間を過ごせます。

客室

最上階に位置する露天風呂付き客室「湖上の特等席」は、まさにふたりのための特別な空間。広々とした和洋室の窓の外には、絵画のように切り取られた琵琶湖の風景が広がります。モダンなインテリアの中に、和の温もりが感じられる設えは、長旅の疲れを優しく癒してくれるでしょう。

客室露天風呂の時間

信楽焼の湯船に身を沈めると、目の前には遮るもののない琵琶湖のパノラマが広がります。空の色を映して刻一刻と表情を変える湖面を眺めていると、日常の些細な悩み事が、ちっぽけなことに思えてくるから不思議です。

そっと目を閉じれば、聞こえるのは頬をなでる風の音と、湯が静かに溢れる音だけ。隣にいるパートナーとの間に、言葉はなくてもいい。ただ同じ景色を見つめ、同じ湯に浸かる。それだけで、言葉以上に深く心が通い合うような、満ち足りた時間が流れていきます。

共用風呂

もちろん、客室のお風呂だけでなく、館内の大浴場も見逃せません。最上階にある展望大浴場「湖望の湯」からは、昼は雄大な琵琶湖の姿を、夜は対岸の街の灯りがきらめく夜景を一望できます。

手足を思いきり伸ばして湯に浸かりながら、「部屋のお風呂もいいけど、広いお風呂はやっぱり気持ちがいいわね」「ああ、本当に贅沢な時間だな」そんな何気ない会話を交わすのも、旅の楽しみのひとつ。湯上りには、琵琶湖の景色を望むラウンジで、ほてった身体をゆっくりと休めるのもおすすめです。

食事

食事は、近江の豊かな自然が育んだ山海の幸をふんだんに使った会席料理。A4ランク以上の認証近江牛をはじめ、琵琶湖で獲れた新鮮な魚介、地元契約農家から届く旬の野菜など、料理長のこだわりが光る逸品が並びます。

一皿一皿、丁寧に仕上げられた料理は、まるで芸術品のような美しさ。器選びにもこだわりが感じられ、目でも舌でも存分に楽しませてくれます。「このお造り、新鮮ね」「このお肉、口の中でとろけるようだ」そんな会話と共に、ふたりでゆっくりと味わう食事の時間は、旅の記憶をより一層豊かなものにしてくれるでしょう。

サービス

夕食を終え、部屋に戻ると、テーブルの上に小さな花瓶と一輪の花がそっと置かれている。
「あら、素敵」
妻が嬉しそうに呟く。
「昼間、ロビーの花を見て綺麗だって言ってたのを、覚えていてくれたのかもしれないな」
夫の言葉に、妻は静かに微笑む。
派手さはないが、心に深く沁みる。
そういうおもてなしが、この宿には満ちている。

こんな50代夫婦におすすめ

  • 記念日など、特別な時間を心に残るおもてなしで過ごしたい夫婦
  • 美しい花々や、細やかな気配りに癒されたい夫婦
  • 和の情緒とモダンな快適さを両立した空間で寛ぎたい夫婦

アクセス情報

  • 住所:滋賀県大津市雄琴1-1-3
  • アクセス:JR湖西線「おごと温泉駅」より車で約5分
  • 送迎:おごと温泉駅より無料送迎あり(要事前連絡)

ふたりで紡ぐ、宿の記憶

部屋のテラスで、夫が淹れてくれたコーヒーを手に、琵琶湖を眺める。
館内のそこかしこに飾られていた、見事な生け花。
妻がぽつりと言った。
「昔、あなたがお誕生日にくれた花束、覚えてる?」
突然の言葉に、夫は少し驚いた顔で記憶を辿る。
「ああ、あの派手な…。花屋さんに勧められるがままに買ったやつか」
「そう。でも、すごく嬉しかったのよ」
照れくさそうに笑う夫の横顔は、あの頃と少しも変わらない。
たくさんの記念日を通り過ぎ、いつからか花を贈ることもなくなっていた。
でも、忘れていたわけじゃない。
心の引き出しに、大切にしまわれていた記憶。
宿に咲く一輪の花が、ふたりの思い出の扉をそっと開けてくれた。
「次は、どんな花がいいかな」
夫の言葉に、妻はただ静かに微笑み、湖に視線を戻す。
その横顔が、夕日に照らされて優しく輝いている。

びわこ緑水亭

~全室琵琶湖ビュー&露天風呂付き。ふたりだけの水景色を求めて~

■おすすめポイント(びわこ緑水亭)

  • 全客室に琵琶湖を一望する温泉露天風呂を完備
  • 湖との一体感を味わえる、絶景のインフィニティ貸切露天風呂
  • プライベートを重視した、落ち着きのある大人の空間
  • 認証「近江牛」や鮑など、厳選食材を使った美食の数々
  • 大切な人との時間を邪魔させない、心地よい距離感のサービス

「誰にも邪魔されず、ただ静かに、ふたりで湖を眺めていたい」そんな願いを叶えてくれるのが、びわこ緑水亭です。すべての客室が琵琶湖に面し、温泉露天風呂を備えているという贅沢な設え。まるでプライベートな別荘を訪れたかのような感覚で、心ゆくまでふたりだけの時間を満喫できます。日常の喧騒から完全に解放される、極上の休日がここにあります。

客室

客室は、和の落ち着きと洋の機能性を兼ね備えた洗練された空間。大きな窓から差し込む光が、部屋全体を明るく照らします。何よりの魅力は、全ての部屋に備えられた露天風呂付きのテラス。椅子に腰かけてただ湖を眺めるもよし、湯船に浸かりながら語らうもよし。思い思いのスタイルで、琵琶湖の絶景を独り占めできます。

客室露天風呂の時間

湯船の縁に顎を乗せれば、視線の先にはどこまでも広がる琵琶湖の水面。まるで湖と一体になったかのような、不思議な浮遊感を味わえます。湯けむりの向こうに見える対岸の山並みや、ゆっくりと空を流れる雲を眺めていると、時間という概念さえ忘れてしまいそう。

特に、空が茜色に染まる夕暮れ時や、静寂の中で星が瞬く夜の入浴は格別です。すぐそこにいるパートナーの体温を感じながら、移ろいゆく景色に身を委ねる。それは、どんな言葉よりも雄弁に、ふたりの絆を確かめ合う時間となるはずです。

共用風呂

プライベート感を重視するこの宿には、大浴場はありません。しかし、その代わりに用意されているのが、息をのむほど美しい3つの貸切露天風呂です。中でも、まるで琵琶湖に浮かんでいるかのような感覚を味わえるインフィニティ設計の「碧の湯」は圧巻。

予約制で利用できるため、客室の露天風呂とはまた違う、よりダイナミックなスケールで琵琶湖の絶景を独り占めできます。「次はあのお風呂に入ってみようか」と、夫婦で相談しながら館内を散策するのも、心躍るひとときです。これは、宿が提供する「プライベートな湯浴みをとことん楽しんでほしい」という哲学の表れと言えるでしょう。

食事

食事は、プライベートが保たれた食事処でいただきます。メインディッシュは、とろけるような食感の認証「近江牛」のしゃぶしゃぶやステーキ、そして新鮮な鮑の踊り焼きなど、豪華な食材の中から選ぶことができます。

料理長が厳選した旬の食材を、最も美味しい調理法で提供する。その心意気が、一品一品から伝わってきます。ふたりで鍋を囲み、あるいは熱々の鉄板焼きを頬張りながら、今日の出来事や昔の思い出を語り合う。美味しい料理は、自然と夫婦の会話を弾ませてくれます。

サービス

食事が終わり、部屋に戻る。
「少し、散歩でもしないか」
夫の誘いに、妻は頷く。
湖岸をゆっくりと歩く。さざ波の音が心地いい。
宿のスタッフは、必要以上に話しかけてくることはない。
しかし、廊下ですれ違う時の会釈や、食事処でのさりげない一言には、温かい心がこもっている。
「放っておいてくれる、ってすごく贅沢なことなのね」
妻の言葉に、夫は静かに頷いた。
ふたりの時間を、何よりも大切にしてくれる。
その見えない配慮が、この宿の一番のサービスなのかもしれない。

こんな50代夫婦におすすめ

  • 誰にも邪魔されず、ふたりだけのプライベートな時間を満喫したい夫婦
  • とにかく絶景が好きで、心ゆくまで琵琶湖の景色を堪能したい夫婦
  • 近江牛や鮑など、ワンランク上の美食を楽しみたい夫婦

アクセス情報

  • 住所:滋賀県大津市雄琴6-1-6
  • アクセス:JR湖西線「おごと温泉駅」より車で約5分
  • 送迎:おごと温泉駅より無料送迎あり(要事前連絡)

ふたりで紡ぐ、宿の記憶

夜明け前、ふと目が覚めた妻は、テラスの露天風呂にそっと身体を沈めた。
隣で眠る夫を起こさないように、静かに。
東の空が、少しずつ白んでくる。
湖面は鏡のように静まり返り、空の色を映している。
やがて、対岸の山の稜線から、眩い光が差し込んできた。
荘厳で、圧倒的な美しさ。
思わず息をのんだその時、背後で微かな物音がした。
振り返ると、いつの間にか起きてきた夫が、バスローブ姿で立っている。
「おはよう。綺麗だな」
夫は湯船の縁に腰掛け、妻の肩をそっと抱き寄せた。
言葉はいらない。
ふたりは黙って、昇りゆく朝日を見つめていた。
これからまた始まる、新しい一日。
そして、これからまた始まる、ふたりの人生。
目の前の景色が、その門出を祝福してくれているようだった。
湯けむりの中で寄り添うふたつの影を、昇ったばかりの太陽が優しく照らしている。

湯元館

~多彩な湯めぐりと、心づくしの味覚を愉しむ温泉宿~

■おすすめポイント(湯元館)

  • 館内で趣の異なる8つのお風呂が楽しめる「湯めぐり」
  • 最上階から琵琶湖を望む、露天風呂付きの特別フロア「はなれ葭蘆葦」
  • 個室料亭で味わう、近江の旬を活かしたこだわりの会席料理
  • 伝統的な旅館の温かさと、現代的な快適さの融合
  • 旅の目的に合わせて選べる、多彩な客室タイプと宿泊プラン

「せっかく温泉に来たのだから、色々なお風呂を楽しみたい」そんなアクティブな夫婦におすすめなのが、湯元館です。館内には趣の異なる8つものお風呂があり、宿にいながらにして「湯めぐり」が楽しめます。伝統的な旅館の良さを大切にしながらも、快適さを追求した設えは、まさに大人のための温泉宿。今日はどのお風呂に入ろうか、と相談する時間もまた、旅の楽しい思い出になります。

客室

特におすすめしたいのが、特別フロア「はなれ葭蘆葦(KAROI)」。最上階に位置するこのフロアの客室には、全室に温泉露天風呂が備えられています。モダンで洗練されたインテリアと、窓の外に広がる琵琶湖の眺望。日常を忘れさせてくれる、贅沢なプライベート空間が広がっています。もちろん、スタンダードな和室も用意されており、予算や好みに合わせて選べるのも魅力です。

客室露天風呂の時間

館内の湯めぐりを存分に楽しんだ後、一日の締めくくりに部屋の露天風呂へ。誰にも気兼ねすることなく、ふたりきりで湯船に浸かる時間は、やはり格別です。眼下に広がる街の灯りと、静かな湖面を眺めながら、今日一日を振り返る。

「あそこのお風呂、気持ちよかったわね」「ああ、全部制覇できたな」そんな他愛ない会話が、心地よく響きます。館内の賑わいから離れ、静寂の中でふたりだけの時間を過ごす。この緩急が、旅をより一層、奥行きのあるものにしてくれるのです。

共用風呂

この宿の最大の魅力は、なんといっても館内で楽しめる湯めぐりです。琵琶湖を一望できる展望大浴場「湖望の湯」や、野趣あふれる岩風呂「山望の湯」、そして最上階にある絶景の露天風呂「月心の湯」など、それぞれに全く異なる趣のお風呂が揃っています。

「次はどこへ行こうか」と、館内マップを片手に散策するのは、まるでちょっとした探検のよう。夫婦で浴衣姿のまま廊下を歩き、次のお風呂へと向かう。そんな時間もまた、童心に帰ったようで楽しいものです。一つ一つのお風呂を巡るたびに、心も身体もほぐれていくのが実感できるでしょう。

食事

夕食は、風情ある個室料亭「旬房淡悦」で。周りを気にすることなく、ふたりだけの空間でゆっくりと食事を楽しめます。料理は、近江牛をはじめ、琵琶湖の幸や旬の京野菜など、地元の食材をふんだんに使用した会席料理。

熟練の料理人が腕をふるう一皿一皿は、素材の味を最大限に引き出した、まさに逸品。美しい器に盛り付けられた料理が運ばれてくるたびに、思わず感嘆の声がもれます。美味しい料理とお酒に舌鼓を打ちながら、ふたりの会話も自然と弾みます。

サービス

湯めぐりの途中、休憩処で冷たいお茶を飲んでいると、通りかかった仲居さんがにこやかに話しかけてきた。
「お風呂は、もう全部お巡りになりましたか?」
「ええ、なんとか。月心の湯からの眺めは最高でした」
夫が答えると、仲居さんは嬉しそうに微笑む。
「そうでございましょう。夜もまた星が綺麗でございますよ」
押し付けがましくない、それでいて心が通う会話。
その絶妙な距離感が、旅人の心を解きほぐす。
宿の自慢を、自分のことのように語るその姿に、この宿が長く愛されてきた理由がわかる気がした。

こんな50代夫婦におすすめ

  • 一つのお風呂だけでは物足りない、温泉好きの夫婦
  • 旅館らしい情緒と、ホテルのような快適さの両方を求める夫婦
  • プライベートな空間で、ゆっくりと食事を楽しみたい夫婦

アクセス情報

  • 住所:滋賀県大津市雄琴6-5-1
  • アクセス:JR湖西線「おごと温泉駅」より車で約5分
  • 送迎:おごと温泉駅より無料送迎あり(定時運行)

ふたりで紡ぐ、宿の記憶

「いやあ、満喫したな」
部屋に戻るなり、夫が満足そうにソファに身を沈めた。
手には、湯めぐりのスタンプがすべて押された館内マップ。
「まるで子供みたいにはしゃいでたわね、あなた」
妻は呆れたように言いながらも、その口元は笑っている。
「君だって、楽しそうだったじゃないか」
言い返す夫の顔も、どこか得意げだ。
展望風呂からの絶景、岩風呂の野趣、寝湯の心地よさ。
一つ一つのお風呂を巡りながら交わした会話が、蘇ってくる。
いつからだろう、こんな風にふたりで何かに夢中になったのは。
日々の忙しさの中で、いつの間にか忘れていた感覚。
「ねえ、明日も朝風呂、行く?」
妻の問いかけに、夫は待ってましたとばかりに頷いた。
「もちろん。今度は逆の順番で回ってみるか」
旅は、ふたりを少しだけ昔に戻してくれる。
明日の計画を立てるその横顔は、まるで遠足を心待ちにする少年のようだ。

里湯昔話 雄山荘

~琵琶湖を見下ろす高台から、里山の風情と絶景を望む宿~

■おすすめポイント(里湯昔話 雄山荘)

  • 琵琶湖と街並みを見下ろす、高台からの圧倒的な眺望
  • プライベートなテラスで湯浴みを楽しめる露天風呂付き客室
  • 地産地消にこだわった、里山の恵みを味わう創作料理
  • 館内に点在するギャラリーやライブラリーなど、知的好奇心を満たす空間
  • 静寂の中で、心からリラックスできる落ち着いた雰囲気

雄琴の温泉街から少し坂を上った、緑豊かな高台に佇む「里湯昔話 雄山荘」。その名の通り、どこか懐かしい里山の風情を感じさせながらも、洗練された大人のための空間が広がっています。この宿の最大の魅力は、なんといってもその眺望。客室や露天風呂からは、眼下に広がる琵琶湖と大津の街並みを一望できます。昼間の開放的な景色はもちろん、街の灯りが宝石のようにきらめく夜景もまた格別です。

客室

露天風呂付きの客室は、広々としたテラスが自慢。和の趣を大切にしながらも、現代的な快適さを取り入れた設えで、ゆったりと寛ぐことができます。窓際に置かれた椅子に腰かけて、移ろいゆく景色を眺めているだけで、心が洗われるような時間を過ごせるでしょう。テラスの露天風呂は、景色を独り占めできる最高の特等席です。

客室露天風呂の時間

陶器の湯船から立ちのぼる湯けむりの向こうに、きらきらと光る街の灯りが見える。それはまるで、地上に広がる星空のよう。空を見上げれば、本物の星が静かに瞬いています。聞こえるのは、風が木々を揺らす音と、遠くで聞こえる虫の音だけ。

都会の喧騒とは無縁の、圧倒的な静寂。その中で湯に浸かっていると、日頃の悩みやストレスが、すーっと消えていくようです。「綺麗だね」「ああ…」そんな短い言葉を交わすだけで、ふたりの心は満たされていく。言葉にしなくても、同じ感動を共有できる。夫婦の歴史が、そんな心地よい沈黙を許してくれるのです。

共用風呂

雄大な琵琶湖の景色を望む大浴場も見逃せません。特に、最上階にある露天風呂からの眺めは圧巻の一言。広々とした湯船に手足を伸ばし、開放感あふれる景色を眺めれば、日頃の疲れも吹き飛んでしまいます。

また、館内には趣の異なる貸切風呂も用意されており、プライベートな湯浴みを楽しみたい方にもおすすめです。湯上りには、景色を眺めながら寛げる湯上り処で、火照った体をゆっくりとクールダウンさせるのも良いでしょう。

食事

食事は、地産地消にこだわった創作和食。自家菜園で採れた新鮮な野菜や、近江しゃも、地元の契約農家から仕入れるお米など、料理長の想いが詰まった食材が並びます。里山の恵みを大切にし、素材の持ち味を最大限に引き出した料理は、滋味深く、身体の芯から元気になるような味わいです。

一品一品、丁寧に作られた料理を味わいながら、その背景にある物語に思いを馳せる。それは、単なる食事ではなく、この土地の風土や文化に触れる豊かな体験となるはずです。

サービス

ラウンジのソファに座り、窓の外の夜景を眺めていた。
「お客様、もしよろしければ」
スタッフが、一冊の写真集をそっと差し出す。
ページをめくると、この場所から撮影されたであろう、四季折々の美しい風景が収められていた。
「すごいな、冬はこんな景色になるのか」
夫が感嘆の声を上げる。
「はい、雪景色の朝は、言葉にならないほどでございます」
ただ景色が良い、というだけではない。
その魅力を知り尽くしたスタッフが、その感動を少しだけお裾分けしてくれる。
そのさりげない心遣いが、旅の記憶に彩りを添える。

こんな50代夫婦におすすめ

  • 美しい夜景や、開放的な景色を眺めるのが好きな夫婦
  • 喧騒から離れた静かな環境で、ゆっくりと過ごしたい夫婦
  • 地元の食材を活かした、身体に優しい料理を味わいたい夫婦

アクセス情報

  • 住所:滋賀県大津市雄琴1-9-28
  • アクセス:JR湖西線「おごと温泉駅」より車で約5分
  • 送迎:おごと温泉駅より無料送迎あり(要事前連絡)

ふたりで紡ぐ、宿の記憶

夕食後、部屋のテラスで二人、夜景を眺めていた。
眼下には、家路を急ぐ車のライトが光の川となって流れていく。
一つ一つの光の中に、それぞれの暮らしがある。
「俺たちも、昔はああやって必死に走ってたな」
夫が、ぽつりと言った。
仕事、子育て、家のこと。目の前のことに追われ、空を見上げる余裕もなかった日々。
「そうね。でも、無駄じゃなかったわ」
妻が静かに答える。
「あの光の一つ一つが、今の私たちを作ってくれたんだもの」
必死に駆け抜けた時間があったからこそ、今、こうして穏やかに夜景を眺める時間がある。
遠くで光る一つ一つの灯りが、まるで自分たちが歩んできた道のりを肯定してくれているかのようだった。
夫は何も言わず、妻の肩にそっと手を置く。
大丈夫、よくやってきたじゃないか。
言葉にしなくても、その温もりから、そんな声が聞こえた気がした。

暖灯館きくのや

~心に灯る、温かな光。我が家のように寛げる湖畔の宿~

■おすすめポイント(暖灯館きくのや)

  • 行灯の優しい光が灯る、和やかでアットホームな雰囲気
  • 趣の異なる露天風呂付き客室で過ごすプライベートな時間
  • 昔ながらの「釜風呂」など、ユニークな温泉体験
  • 掘りごたつ式の食事処で味わう、心温まる手作り料理
  • 大型旅館にはない、一人ひとりに行き届いた家庭的なおもてなし

豪華さや派手さよりも、心からほっとできる温かい時間を過ごしたい。そんな夫婦にぴったりの宿が「暖灯館きくのや」です。館内の至る所に灯された行灯の光が、優しく足元を照らし、まるで我が家に帰ってきたかのような安心感に包まれます。女将さんをはじめとするスタッフの家庭的なおもてなしも、この宿の大きな魅力。気兼ねなく、自然体で過ごせる心地よさが、ここにあります。

客室

露天風呂付き客室は、それぞれに趣が異なり、訪れるたびに新しい発見があります。檜の香りが心地よいお風呂や、信楽焼の風情あるお風呂など、ふたりの好みに合わせて選ぶことができます。広すぎず、狭すぎない、ちょうど良い大きさの客室は、夫婦水入らずで過ごすのに最適な空間。手足を伸ばして畳の上で寛げば、心も身体も自然とほぐれていきます。

客室露天風呂の時間

夜、テラスの露天風呂に浸かると、庭の木々がライトアップされ、幻想的な雰囲気に包まれます。行灯の柔らかな光が水面に映り込み、ゆらゆらと揺れている。その光景は、いつまで見ていても飽きることがありません。

派手な夜景や絶景はないけれど、ここには心安らぐ静けさがあります。「ああ、落ち着くなあ」どちらからともなく、そんな言葉がこぼれる。競い合うように走り続けてきた日々を忘れ、ただお互いの存在を確かめ合うように寄り添う。そんな何でもない時間が、実は何よりも贅沢なのだと、この場所は教えてくれます。

共用風呂

この宿を訪れたなら、ぜひ体験してほしいのが名物の「釜風呂」。大きな鉄の釜を使った一人用の蒸し風呂で、薬草の香りに包まれながらたっぷりと汗をかくことができます。サウナとは一味違う、じんわりと身体の芯から温まる心地よさは、一度体験するとやみつきに。

もちろん、琵琶湖を望む大浴場や露天風呂も完備しています。客室のお風呂とはまた違う、開放的な空間で湯浴みを満喫するのも良いでしょう。夫婦で釜風呂体験の感想を語り合うのも、楽しい時間です。

食事

食事は、掘りごたつ式の食事処でいただきます。足を伸ばしてリラックスしながら楽しめるのが嬉しいポイント。提供されるのは、地元の食材を使い、一品一品心を込めて作られた手作り料理です。派手さはありませんが、出汁の香りや、素材そのものの味を大切にした、身体に優しい味わいが心に沁みます。

「この煮物、お母さんの味に似てるわ」「本当だ、美味しいな」そんな会話が自然と生まれるような、温かい食卓。心のこもった料理が、旅の疲れを優しく癒してくれます。

サービス

ラウンジの片隅で、古いレコードが静かに回っていた。
流れてくるのは、懐かしいジャズのスタンダードナンバー。
「この曲、昔よく聴いたな」
夫がソファに深く腰掛け、目を閉じる。
妻は何も言わず、彼のカップにそっとコーヒーを注ぐ。
宿の女将が通りかかり、にこりと微笑んだ。
「お好きな曲ですか?リクエストもできますよ」
その言葉に、夫は少し照れくさそうに首を振る。
「いえ、これで十分です。ありがとうございます」
無理に勧めない、けれど、いつでも心を開いてくれている。
その距離感が、たまらなく心地いい。
まるで、旧知の友人の家を訪れたかのような、温かい時間が流れていく。

こんな50代夫婦におすすめ

  • 大型旅館の賑やかさより、アットホームな雰囲気を好む夫婦
  • 気兼ねなく、自然体でリラックスした時間を過ごしたい夫婦
  • 心のこもった手作り料理や、家庭的なおもてなしに癒されたい夫婦

アクセス情報

  • 住所:滋賀県大津市雄琴6-1-29
  • アクセス:JR湖西線「おごと温泉駅」より車で約5分
  • 送迎:おごと温泉駅より無料送迎あり(要事前連絡)

ふたりで紡ぐ、宿の記憶

チェックアウトの時、女将さんが深々と頭を下げた。
「どうぞ、お気をつけて。またいつでも、里帰りするような気持ちでいらしてくださいね」
“里帰り”という言葉が、すとんと胸に落ちた。
そうだ、この宿は、豪華な非日常を味わう場所というより、疲れた時にいつでも帰ってこられる心の故郷のような場所なのかもしれない。
車に乗り込み、宿が小さくなっていくのをミラー越しに見つめる。
「いい宿だったな」
夫の言葉に、妻は静かに頷いた。
「ええ、本当に。なんだか、また明日から頑張れそうな気がするわ」
特別な何かがあったわけじゃない。
ただ、温かい湯と、美味しい食事と、優しい笑顔があっただけ。
でも、それだけで、人の心はこんなにも満たされる。
「次は、いつ“里帰り”するかな」
夫の冗談めかした言葉に、妻は楽しそうに笑った。
ふたりの心に、行灯のような温かい光が、確かに灯っていた。

まとめ|さあ、ふたりの時間を紡ぐ旅へ

琵琶湖の畔、雄琴温泉で過ごす、50代夫婦のための上質な宿を5軒ご紹介しました。

  • びわ湖花街道:花とおもてなしに癒される、華やかで心安らぐ宿
  • びわこ緑水亭:全室レイクビュー&露天風呂付きで、究極のプライベートを愉しむ宿
  • 湯元館:館内湯めぐりが楽しく、温泉をとことん満喫したい夫婦のための宿
  • 里湯昔話 雄山荘:高台からの絶景と夜景がロマンチックな、静寂に包まれた宿
  • 暖灯館きくのや:行灯の光が温かい、我が家のように寛げるアットホームな宿

どの宿も、ただ宿泊するだけの場所ではありません。
それは、これまで共に歩んできた道のりを優しく振り返り、そして、これから始まる新しい物語について語り合うための、特別な舞台です。

子育てが終わり、人生の新しいステージに立った今だからこそ、訪れたい場所がある。
今だからこそ、ふたりで分かち合いたい時間がある。

さあ、次の休日は少しだけ荷物をまとめて、ふたりの時間を紡ぐ旅に出かけませんか。
目の前に広がる穏やかな琵琶湖が、きっと新しい門出を静かに祝福してくれるはずです。


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