酸ヶ湯の記憶、八甲田の森。50代夫婦が「本当のふたり」に還る露天風呂付き客室の宿5選

目次

なぜ、人生の節目に立つ夫婦は酸ヶ湯温泉へ向かうのか

青森の深い森に抱かれた八甲田の懐、そこに湧き続ける酸ヶ湯温泉。その名は、強い酸性の泉質と、鹿が傷を癒したという伝説に由来します。ここは、ただ体を温めるだけの温泉地ではありません。湯治場として長く人々の心身を癒してきた歴史と、八甲田の雄大な自然が、訪れる者の魂を静かに揺さぶる場所です。

子育てという大きな役目を終え、これからの人生をふたりで見つめ直す50代という時間。華やかな観光地も良いけれど、今求めているのは、もっと深く、静かな対話の時間ではないでしょうか。都会の喧騒から遠く離れ、ありのままの自然に身を委ねる。強烈な個性を放つ酸ヶ湯の湯は、心にまとわりついた見えない疲れまで洗い流し、夫婦がこれまで歩んできた道のりと、これから歩む未来を、素直な心で語り合うきっかけを与えてくれるのです。

ここでは、そんな特別な時間を過ごすにふさわしい、プライベートな湯浴みが約束された「露天風呂付き客室」を持つ、八甲田周辺の上質な宿を5軒、厳選してご紹介します。

星野リゾート 奥入瀬渓流ホテル

~渓流が、ふたりの時間を奏でる宿~

■おすすめポイント(星野リゾート 奥入瀬渓流ホテル)

  • 目の前に広がる奥入瀬渓流の絶景を独り占めできる、唯一無二のロケーション。
  • 岡本太郎作の巨大暖炉が印象的な、森の神話が息づくラウンジ。
  • 渓流の瀬音をBGMに、青森のりんごをふんだんに使った料理を味わえるビュッフェ。
  • 自然を知り尽くしたネイチャーガイドが案内する、多彩なアクティビティ。
  • 温泉に浸かりながら、氷瀑や雪景色など、四季折々の自然美を堪能できる。

日本屈指の景勝地、奥入瀬渓流のほとりに佇む唯一のリゾートホテル。館内に一歩足を踏み入れた瞬間から、日常は遠く霞んでいきます。窓の外には、まるで一枚の絵画のような渓流の風景が広がり、その瀬音は心を落ち着かせる優しい音楽のように響き渡ります。ここは、自然とアートが融合した、大人のためのサンクチュアリです。

客室

特別保護地区である奥入瀬の自然に溶け込むように設計された客室。中でも、渓流に面したテラスに露天風呂を備えた客室は、この宿の神髄を味わうための特等席です。モダンでありながら木の温もりを感じさせる空間で、窓の外に広がる生命力あふれる森を眺めているだけで、心が満たされていくのを感じるでしょう。

客室露天風呂の時間

テラスの扉を開けると、ひんやりと澄んだ森の空気が肌を撫で、すぐそこに渓流の力強い息吹が感じられます。湯船に体を沈めれば、聞こえてくるのは鳥のさえずりと、絶え間なく続く水の音だけ。目の前の木々の葉が風にそよぎ、水面がきらきらと光を反射する様子は、時が経つのを忘れさせるほどに美しい光景です。

「昔、子供たちが小さい頃に来たかったね」と夫が呟けば、「ううん、今だからいいのよ」と妻が微笑む。そんな会話が、ごく自然に生まれる時間。誰にも邪魔されない湯船の中で、ふたりはただ、流れる水と緑の森に心を委ねます。それは、言葉以上に多くのことを語り合える、満ち足りた静寂のひとときです。

共用風呂

館内には、八甲田山から湧き出る温泉を心ゆくまで楽しめる大浴場も完備されています。特に、冬には目の前に広がる氷瀑のライトアップを眺めながら湯浴みができる「氷瀑の湯」は圧巻の一言。渓流を望む「渓流露天風呂」では、森の一部になったかのような開放感を味わえます。

湯上がりにはラウンジへ。岡本太郎の巨大な暖炉が燃える空間で、火の揺らめきを眺めながら過ごす時間は、旅の夜をより一層、思い出深いものにしてくれるでしょう。

食事

青森の食の豊かさを存分に堪能できる「青森りんごキッチン」では、遊び心あふれるビュッフェが楽しめます。りんごを使った料理はもちろん、目の前で仕上げられるグリル料理や、新鮮な魚介類が並び、選ぶ時間さえも心躍る体験に。

りんごの木をモチーフにしたインテリアに囲まれながら、「次は何をいただこうか」と微笑み合う。そんな何気ないひとときが、夫婦の旅を彩ります。地元食材の魅力を最大限に引き出した料理の数々は、明日の旅への活力を与えてくれるでしょう。

サービス

ラウンジの暖炉に、静かに火が灯る。
ソファに深く腰掛けた夫が、ぽつりと言った。
「こういう時間、久しぶりだな」
妻は何も言わず、彼のカップにそっとハーブティーを注ぐ。
炎の向こうに揺れる奥入瀬の森が、ふたりの影を優しく包み込んでいる。

こんな50代夫婦におすすめ

  • 美しい渓流の景色を眺めながら、誰にも邪魔されず温泉を堪能したい夫婦。
  • 食事もアクティビティも、上質で洗練された体験を求める夫婦。
  • 自然散策やアート鑑賞など、知的好奇心を満たす旅をしたい夫婦。

アクセス情報

  • 住所: 青森県十和田市大字奥瀬字栃久保231
  • アクセス: JR八戸駅・青森駅から無料送迎バスあり(要予約)
  • 送迎: あり

ふたりで紡ぐ、宿の記憶

窓の外、月明かりに照らされた渓流が、銀色の帯のように流れていく。
テラスの湯船に肩まで浸かり、夫が空を見上げて言った。
「星が、近いな」
妻は黙って夫の肩に寄り添う。
聞こえるのは、水の音と、隣にいる人の呼吸だけ。
言葉はいらない。
この静寂が、この瀬音が、この温もりが、ふたりの心をゆっくりと満たしていく。
何十年と一緒にいても、まだ知らない美しい時間が、ここには流れている。
奥入瀬の夜は、ただ静かに、そして深く更けていく。

ホテル城ヶ倉

~八甲田の四季を望む、天空の露天風呂~

■おすすめポイント(ホテル城ヶ倉)

  • 標高800mに位置し、八甲田の雄大な自然を望む絶好のロケーション。
  • ブナの原生林に囲まれた、開放感あふれる露天風呂からの眺望。
  • 北欧と和が融合した、温かみのあるモダンな客室デザイン。
  • 地元の旬の食材を活かした、見た目も美しいフレンチと和食会席。
  • 周辺には城ヶ倉大橋や地獄沼など、八甲田の自然を満喫できるスポットが多数。

八甲田連峰の懐、城ヶ倉渓谷を見下ろす高台に佇むマウンテンリゾート。ブナの原生林に囲まれ、四季折々にその表情を変える大自然のパノラマは、まさに圧巻の一言。冬には一面の銀世界、秋には燃えるような紅葉が、訪れる人々を優しく迎え入れます。自然との一体感を求める夫婦に、最高の舞台を用意してくれます。

客室

木の温もりを基調とした、落ち着きのある客室。窓の外には、どこまでも続く八甲田の森が広がります。露天風呂付きの客室では、テラスに出ると澄み切った高原の空気が肌を包み、プライベートな空間で心ゆくまで湯浴みを満喫できます。日常の喧騒から完全に解放される、贅沢な時間がここにあります。

客室露天風呂の時間

湯船に身を沈めると、視界いっぱいに広がるのは八甲田の大パノラマ。風が木々を揺らす音、遠くで聞こえる鳥の声、それらすべてがBGMとなり、心と体を深く癒していきます。夜には、降ってきそうなほどの満天の星。手を伸ばせば届きそうな星空の下、ふたりきりで浸かる温泉は、言葉にできないほどの感動を与えてくれるでしょう。

「昔、山登りが好きだった頃を思い出すな」と彼が言えば、「また、ふたりでゆっくり歩いてみましょうか」と彼女が応える。温泉の温もりが、忘れていた若い頃の情熱や、これからの夢を、そっと心に灯してくれる。そんな不思議な力が、この場所には満ちています。

共用風呂

自慢は、ブナの原生林に手が届きそうなほど近い、開放感抜群の大浴場と露天風呂。空と森と湯船が一体になったかのような感覚は、ここでしか味わえません。特に、雪がしんしんと降り積もる中で浸かる「雪見露天」は、幻想的で忘れられない体験となるでしょう。

浴槽には、八甲田の恵みである温泉がなみなみと注がれ、その柔らかな湯は、体の芯からじんわりと温めてくれます。湯上がりにラウンジのソファで寛ぎながら、窓の外の景色を眺める。夫婦の会話も自然と弾む、穏やかな時間が流れます。

食事

夕食は、青森の山海の幸をふんだんに使用したフランス料理のフルコース、または和食会席から選ぶことができます。どちらも、料理長のこだわりと美意識が感じられる逸品ばかり。窓の外に広がる雄大な景色を眺めながらいただく料理は、格別な味わいです。

一皿一皿、丁寧に作られた料理が運ばれてくるたびに、ふたりの間に小さな感動が生まれます。美味しい料理とワインが、夫婦の会話をより豊かに、そして温かいものにしてくれるでしょう。

サービス

夕食後、暖炉のあるラウンジで寛いでいると、スタッフがそっとブランケットを差し出してくれる。
「夜は冷えますので」
そのさりげない一言に、心が温まる。
夫が妻の肩にブランケットをかけながら、小さな声で言った。
「いい宿だな」
妻は黙って頷き、揺れる炎を見つめている。
特別な演出ではない、心遣いという名の最高のサービスがここにある。

こんな50代夫婦におすすめ

  • 八甲田の雄大な自然に抱かれ、心身ともにリフレッシュしたい夫婦。
  • 本格的なフレンチや和食会席など、美食を追求する旅をしたい夫婦。
  • ドライブやハイキングなど、アクティブに自然を楽しみたい夫婦。

アクセス情報

  • 住所: 青森県青森市荒川八甲田山中
  • アクセス: JR青森駅からJRバスで約80分、「城ヶ倉温泉」下車
  • 送迎: なし(季節により青森駅からの有料送迎バス運行の場合あり、要確認)

ふたりで紡ぐ、宿の記憶

テラスの湯船から、朝靄に煙る八甲田の山々を眺める。
昨夜の満天の星が嘘のように、世界は乳白色の静寂に包まれていた。
「きれい…」
妻の小さな呟きが、静かな空気に溶けていく。
夫は何も言わず、ただ同じ景色を見つめている。
言葉はなくても、同じものを見て、同じように心を感じている。
それだけで、十分だった。
これから始まる一日が、そしてこれからの人生が、
この朝靄の向こうにある景色のように、美しく輝いている。
そんな予感が、ふたりの胸を温かく満たしていた。

八甲田ホテル

~森のなかに佇む、日本一美しい木造洋館~

■おすすめポイント(八甲田ホテル)

  • カナダ産の上質なオールドログを使用した、風格ある佇まいの洋風建築。
  • 巨匠・棟方志功の作品が飾られるなど、館内の随所に感じられる芸術的な薫り。
  • 八甲田の自然を知り尽くしたコンシェルジュによる、きめ細やかな旅の提案。
  • 総ヒバ造りの大浴場で、源泉かけ流しの「ラムネの湯」を堪能。
  • 暖炉が燃えるラウンジでの、静かで満ち足りた大人の時間。

八甲田の深い森の中に、まるで隠れ家のように佇む本格的な洋風リゾートホテル。カナダ産の極太ログをふんだんに使った建物は、木の温もりと重厚感に満ち、訪れる者を優しく迎え入れます。一歩足を踏み入れれば、そこは日常から切り離された別世界。暖炉の火がパチパチと音を立てるラウンジ、棟方志功の作品が飾られた空間、すべてが上質で、落ち着いた大人の時間を約束してくれます。

客室

館内はすべてが木造り。客室もまた、木の香りと温かみに包まれた、心から寛げる空間です。特別室には、八甲田の森を望む展望風呂が備えられており、プライベートな空間で湯浴みを楽しむことができます。大きな窓から差し込む木漏れ日が、室内に優しい光と影を描き出します。

客室露天風呂の時間

この宿が提供するのは、完全な露天風呂ではなく、大きな窓を開け放つことで半露天の気分を味わえる展望風呂です。窓を全開にすれば、森の冷たく新鮮な空気が流れ込み、まるで森の中で湯に浸かっているかのような錯覚を覚えます。湯船からは、人の手が入っていないありのままのブナの原生林が。

「鳥の声しか聞こえないな」夫が目を閉じて呟きます。妻は、湯気に煙る緑を眺めながら、静かに頷く。情報も、騒音も、何もない。ただ、自然の音とふたりだけの静かな時間がそこにある。それは、心を無にして、自分自身と、そして隣にいる大切な人と向き合うための、何よりの贅沢です。

共用風呂

このホテルのもう一つの誇りが、総ヒバ造りの大浴場「八甲田山の湯」。中性の単純温泉で、肌に優しく、旅の疲れをじんわりと癒してくれます。浴室の扉を開けた瞬間に広がる、ヒバの清々しい香り。そして、大きな窓の外に広がる八甲田の森。まるで森の中で森林浴をしているかのような、深いリラクゼーションを味わえます。

さらに、近くにある姉妹館「酸ヶ湯温泉」の有名な「ヒバ千人風呂」へ、無料のシャトルバスで湯めぐりに出かけることも可能です。野趣あふれる酸ヶ湯と、洗練された八甲田ホテル、二つの全く異なる泉質と雰囲気を楽しめるのも、この宿ならではの大きな魅力です。

食事

ダイニングで提供されるのは、地元の食材をふんだんに取り入れた本格フレンチのフルコース。青森の豊かな海が育んだ魚介、八甲田の山々がもたらす山の幸。それらが、シェフの巧みな技によって、美しく、そして味わい深い一皿へと昇華されます。

クラシックが静かに流れる落ち着いた空間で、ソムリエが選ぶワインと共に、ゆっくりと食事を楽しむ。それは、夫婦の記念日や、特別な旅を祝うのにふさわしい、エレガントなディナータイムです。

サービス

食事が終わり、バーラウンジへ。
カウンターに並んで座り、琥珀色のウイスキーを傾ける。
「昔、初めてふたりで飲んだお酒、覚えてるかい?」
夫の言葉に、妻は少し驚いたように目を見開いて、そして優しく微笑んだ。
「ええ、覚えてるわ」
暖炉の炎が、ふたりの横顔を静かに照らしている。
遠い日の記憶が、グラスの中で静かに揺らめいていた。

こんな50代夫婦におすすめ

  • 上質な空間で、静かで落ち着いた大人の時間を過ごしたい夫婦。
  • 建築やアートに興味があり、文化的な香りのする滞在を求める夫婦。
  • 本格的なフランス料理とワインのマリアージュを楽しみたい夫婦。

アクセス情報

  • 住所: 青森県青森市荒川字八甲田山1-1
  • アクセス: JR青森駅からJRバスで約60分、「八甲田ホテル前」下車
  • 送迎: なし(季節により青森駅からの有料送迎バス運行の場合あり、要確認)

ふたりで紡ぐ、宿の記憶

重厚なログハウスのロビー。
チェックアウトを済ませた後、暖炉の前のソファに腰掛けた。
「あっという間だったな」
夫が名残惜しそうに呟く。
妻は何も言わず、窓の外の深い森を見つめている。
森は、ただ静かにそこにある。
昨日も、今日も、そして明日も。
「また来ましょう。今度は、雪の季節に」
妻の言葉に、夫は黙って頷いた。
この森の静けさを、この木の温もりを、忘れないように。
ふたりの時間は、またここから、ゆっくりと動き出す。

界 津軽

~津軽の文化と、りんごの湯に心を遊ばせる~

■おすすめポイント(界 津軽)

  • 津軽地方の伝統工芸「津軽こぎん刺し」を随所にあしらった、モダンで美しい空間。
  • 樹齢二千年を超える古代檜の湯殿で、とろりとした名湯を堪能。
  • 毎晩開催される、津軽三味線の全国チャンピオンによる迫力満点の生演奏。
  • 季節ごとに変わる、りんごを浮かべた「りんご湯」で、青森らしい湯浴み体験。
  • 大間のマグロや郷土料理を取り入れた、津軽の食文化を味わう会席料理。

八甲田から少し足を延ばし、津軽の奥座敷・大鰐温泉へ。ここに佇む「界 津軽」は、星野リゾートが手掛ける温泉旅館。テーマは、津軽文化の粋に触れること。館内は伝統工芸「津軽こぎん刺し」のモチーフで彩られ、夜ごと響き渡る津軽三味線の音色は魂を揺さぶります。ただ泊まるだけでなく、その土地の文化に深く浸ることを教えてくれる、知的な大人のための宿です。

客室

全室がご当地部屋「津軽こぎんの間」。こぎん刺しのアートワークや障子が配され、落ち着いた和の空間にモダンな感性が光ります。露天風呂付きの客室では、大きな窓の向こうに広がる庭園を眺めながら、プライベートな湯浴みが楽しめます。津軽の職人技に囲まれながら過ごす時間は、心に豊かな潤いを与えてくれます。

客室露天風呂の時間

客室のテラスに出ると、手入れの行き届いた庭園の緑が目に飛び込んできます。信楽焼の湯船に体を沈めれば、聞こえるのは風の音と葉擦れの音だけ。大鰐温泉のとろりとした柔らかな湯が、肌を優しく包み込みます。

「三味線の音、すごかったわね」湯船の中で、妻がぽつりと言う。「ああ、魂が震えるって、ああいうことなんだな」と夫が応える。旅先で出会った文化の衝撃を、ふたりだけの空間でゆっくりと反芻する。そんな豊かな対話が生まれるのも、プライベートな湯船があるからこそ。日常から離れた場所で得る新しい感動が、夫婦の絆をより一層深く結びつけてくれます。

共用風呂

この宿の象徴とも言えるのが、樹齢二千年の古代檜を使った大浴場。一歩足を踏み入れた瞬間、檜の芳醇な香りに包まれ、まるで森の聖域にいるかのような荘厳な気持ちになります。天井が高く、広々とした湯殿の中央には、りんごがぷかぷかと浮かぶ「りんご湯」が。

甘酸っぱい香りに包まれながら、とろりとした名湯に浸かる。それは、青森でしかできない、忘れられない体験です。大きな窓からは、四季折々の美しい日本庭園「津軽四季の水庭」を望むことができ、心身ともに深く癒されることでしょう。

食事

夕食は、プライベート感が保たれた半個室の食事処で。青森の豊かな食文化を表現した会席料理が提供されます。名物の大間のマグロはもちろん、郷土料理をモダンにアレンジした一皿など、目と舌で津軽の恵みを味わい尽くすことができます。

器の一つ一つにもこだわりが感じられ、津軽の伝統工芸品が料理に彩りを添えます。土地の物語を味わうような食体験は、旅の記憶をより鮮やかなものにしてくれるはずです。

サービス

ラウンジの水庭に面したソファに座る。
目の前の池には、季節の花が静かに浮かんでいた。
スタッフが運んできたりんごジュースは、驚くほど濃密な味がする。
「美味しい…」
妻が呟くと、夫が少し得意げに言った。
「だろ?ここのは特別なんだ」
まるで昔から知っていたかのように。
旅先で見せる夫のそんな一面が、妻は少し嬉しかった。

こんな50代夫婦におすすめ

  • 温泉だけでなく、その土地ならではの文化や伝統芸能に触れたい夫婦。
  • 洗練された空間で、プライベートを重視した滞在をしたい夫婦。
  • 大間のマグロをはじめ、青森の質の高い食を堪能したい夫婦。

アクセス情報

  • 住所: 青森県南津軽郡大鰐町大鰐字上牡丹森36-1
  • アクセス: JR大鰐温泉駅からタクシーで約5分
  • 送迎: あり(大鰐温泉駅より定時運行)

ふたりで紡ぐ、宿の記憶

夜。ラウンジから聞こえてくる津軽三味線の音が、部屋まで届いてくる。
激しく、そしてどこか切ない音色。
テラスの湯船に浸かりながら、ふたりは黙ってその音に耳を傾けていた。
「私たちの人生みたいね」
妻が、冗談っぽく言った。
「そうか?」
「ええ。楽しい時も、苦しい時も、色々あったじゃない。でも、全部一生懸命だった」
夫は何も言わず、妻の肩をそっと抱き寄せた。
三味線の音が、まるでふたりの歩んできた道を肯定してくれるかのように、津軽の夜空に力強く響いていた。

南田温泉ホテルアップルランド

~りんごの香りに包まれる、遊び心満載の温泉宿~

■おすすめポイント(南田温泉ホテルアップルランド)

  • 湯船にりんごが浮かぶ、名物「りんご風呂」で心身ともにリフレッシュ。
  • りんごをテーマにしたユニークな客室や館内施設。
  • 津軽平野の田園風景を望む、開放的な露天風呂。
  • 地元の食材とりんごを活かした、創作会席料理。
  • りんご狩りやりんご足湯など、りんご尽くしのアクティビティ。

青森といえば、やはり「りんご」。その魅力を全身で感じられるのが、津軽平野の真ん中に位置する「南田温泉ホテルアップルランド」です。その名の通り、館内の至る所にりんごのモチーフが溢れ、名物の「りんご風呂」では、甘酸っぱい香りに包まれながら温泉を楽しめます。少しユニークで、心温まる滞在を求める夫婦にぴったりの、遊び心に満ちた宿です。

客室

和室、洋室、そして和洋室と、多彩なタイプの客室が揃います。中でも、津軽の田園風景を一望できる露天風呂付きの客室「TAPS」は、モダンで洗練された空間。広々としたテラスには、信楽焼の湯船が備えられ、プライベートな時間を満喫できます。りんごをモチーフにした可愛らしいインテリアが、旅の気分を盛り上げてくれます。

客室露天風呂の時間

テラスの湯船に浸かると、目の前に広がるのは、どこまでも続く津軽平野ののどかな田園風景。遠くには岩木山を望むこともできます。買ってきた新鮮なりんごを湯船に浮かべれば、自分たちだけのオリジナルりんご風呂の完成です。爽やかな香りが立ち上り、温泉の効能と相まって、心身の疲れを優しく解きほぐしてくれます。

「本当にりんごだらけだな」と夫が笑う。「でも、いい香りね」と妻が応える。そんな他愛ない会話が、とても幸せに感じられる時間。黄金色に染まる夕暮れの空を眺めながら、ふたりだけの湯浴みを楽しむ。それは、旅のハイライトとなる、心温まる記憶のワンシーンです。

共用風呂

この宿の代名詞とも言えるのが、内湯にりんごがたっぷりと浮かべられた大浴場「苹果(ひょうか)の湯」。扉を開けた瞬間から、りんごの甘酸っぱい香りがふわりと鼻をくすぐります。りんごから出る成分が肌をすべすべにしてくれる効果もあると言われ、特に女性に人気です。

広々とした露天風呂「満天の湯」からは、遮るもののない津軽の空と田園風景が広がり、開放感は抜群。夜には、その名の通り満天の星空を眺めながら、ゆったりと湯に浸かることができます。

食事

夕食は、地元の旬の食材をふんだんに使い、りんごをアクセントにした創作会席料理。りんごのグラタンや天ぷらなど、ここでしか味わえないユニークな料理が並びます。一品一品に料理人の遊び心が感じられ、次は何が出てくるのだろうとワクワクさせてくれます。

りんごの形をした可愛らしい器なども使われ、目でも楽しめる工夫が満載。美味しい料理と地酒に舌鼓を打ちながら、夫婦の会話も弾みます。

サービス

売店を覗くと、様々な種類のりんごジュースがずらりと並んでいる。
「どれがいいかな」
迷っていると、夫が「飲み比べてみよう」と提案した。
ふたりで数本選び、部屋に戻ってから小さな利き酒会ならぬ、利きジュース会を開く。
「こっちが酸っぱい」「こっちは甘い」
子供のようにはしゃぐ夫の顔を見て、妻は思わず笑ってしまった。
旅は、こんな小さな発見と笑顔でできている。

こんな50代夫婦におすすめ

  • 少し変わったユニークな温泉体験をしてみたい夫婦。
  • のどかな田園風景を眺めながら、心穏やかな時間を過ごしたい夫婦。
  • 美味しいりんご料理やスイーツを思う存分楽しみたい夫婦。

アクセス情報

  • 住所: 青森県平川市町居南田166-3
  • アクセス: 弘南鉄道平賀駅から徒歩約15分、タクシーで約5分
  • 送迎: あり(平賀駅より無料送迎)

ふたりで紡ぐ、宿の記憶

朝。客室の露天風呂に浸かると、朝日が津軽平野を黄金色に染めていく。
遠くに見える岩木山のシルエットが美しい。
「そろそろ、家に帰るか」
夫がぽつりと言った。
「そうね」
妻は頷き、湯船に浮かんだりんごを一つ、掌ですくい上げた。
つやつやと赤く光る、小さな太陽。
この旅で心に灯った、温かい光みたいだと思った。
りんごの甘い香りが、新しい一日の始まりを告げている。
さあ、帰ろう。また明日から、ふたりで、ゆっくりと。

まとめ|さあ、ふたりの時間を紡ぐ旅へ

八甲田の深い自然と、そこに湧き続ける温泉。今回は、子育てを終えた50代の夫婦が、心から寛ぎ、語り合うための「露天風呂付き客室」を持つ宿を厳選してご紹介しました。

  • 星野リゾート 奥入瀬渓流ホテル(渓流の絶景とアートに浸る)
  • ホテル城ヶ倉(八甲田のパノラマを望む天空の湯)
  • 八甲田ホテル(風格あるログハウスで過ごす大人の時間)
  • 界 津軽(津軽文化とりんご湯に心を遊ばせる)
  • 南田温泉ホテルアップルランド(りんごの香りに包まれるユニークな滞在)

どの宿も、ただ快適なだけでなく、ふたりの時間に新たな彩りを添えてくれる、特別な物語を持っています。

忙しい毎日の中で、いつの間にか置いてきてしまった言葉や、向き合うことを忘れていた気持ち。そんな大切なものを、もう一度拾い集める旅に出てみませんか。八甲田の森が、酸ヶ湯の記憶が、きっとふたりの背中を優しく押してくれるはずです。


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